ヘアワックスが落ちにくい理由
シャンプーでしっかりとしなければ洗い残しがでてきてしまうヘアワックスですが、そもそもなぜそこまで簡単に洗い落とすことができないのでしょうか。それはヘアワックスの成分が油で構成されていることに起因しています。
ワックスの主成分は油
ヘアワックスの成分表示を見てみると、ミツロウ・カルナバロウ・キャンデリラロウと呼ばれる蝋の一種が含まれているのがわかると思います。動植物の表面を覆う油分を抽出して作られており、常温ではやわらかくなり髪につけた後は固まるという融点の特性を上手く活かしているため、ワックスを使用して整えた髪型をそのままキープすることができるのです。
界面活性剤に注意
洗剤にも含まれており、油汚れを落とすことで知られる界面活性剤ですが、実はヘアワックスにも使われています。使われる理由として、ヘアワックスのセットをしやすくする、あるいはワックスの性質を保つために用いられるからです。この界面活性剤は、ヘアワックスの主成分である油分を落とすためには有効的かもしれませんが、頭皮のことを考えるとあまり良い成分とは言えません。界面活性剤は水と油を混ぜ合わせる性質があるため、頭皮に分泌されている皮脂を余分に取り除いてしまう可能性があるのです。
皮脂というのは本来頭皮の乾燥を防いで保湿の役割を持つため、界面活性剤によって皮脂を取り除かれてしまうと、頭皮の乾燥やかゆみを引き起こしやすくなってしまいます。
また、界面活性剤の中には髪の毛を構成しているタンパク質にも影響するものもあると言われ、ヘアワックスを使い続けることで髪の毛がダメージを負い、細くなってしまい抜けやすくなってしまうこともあるのです。
頭皮に残ったワックスが起こすトラブル
ヘアワックスを使った後はキチンと洗い落とさなければいけないということをわかってはいるものの、面倒くささが勝ってしまうと髪の毛をパパっと雑に洗うだけで済ましてしまい、頭皮にヘアワックスを残してしまう状態になります。頭皮にワックスを残した状態でいると、先ほど説明した界面活性剤が与える影響を始め、毛穴にワックスが詰まり抜け毛を引き起こすリスクを高めるなど、頭皮トラブルに発展してしまうことになるでしょう。
また、頭皮に残ったヘアワックスを一生懸命洗い落とそうと何度もシャンプーをしてしまうのもかえって頭皮に負担をかけてしまいます。シャンプーにも界面活性剤が配合されているものが多いですし、シャンプーは汚れだけでなく皮脂も洗い落とすものなので、必要以上に頭皮を洗いすぎてしまうことによって、乾燥やフケ、かゆみを生じさせかねない事態に繋がります。
そこで、適切にヘアワックスを落とす方法を学び実践していくこと、頭皮に必要以上に負担をかけないということが何よりも大切です。
ヘアワックスの落とし方
ヘアワックスを落とすといってもシャンプーに配合されている成分だけが落としやすくする全てではなく、シャンプーをする前の行動や、シャンプーの仕方によってヘアワックスを落としやすくすることができます。このヘアワックスの落とす工夫をするかしないかでは、前者の方が将来的に頭皮にかかる負担というのは段違いに軽くなっていくという意識で行いましょう。
1. 38度くらいのぬるま湯でワックスを流す
最初に行うこととして、ぬるま湯で出来る限り髪の毛についたヘアワックスを落とすというものがあります。ぬるま湯で落とせるだけ落としておくことで、シャンプーの量を減らすことができますし、その後のシャンプーによって、より効率良くヘアワックスを落としやすくすることができます。温度は38度を推奨していますが、その理由として頭皮に負担をかけないような温度設定にする必要があるからです。温度が高いとヘアワックスは落としやすくなりますが、あまり高くしてしまうと頭皮の乾燥を招いてしまうためおすすめできません。
そのため、体温よりやや高めの38度くらいの温度で前洗いをしてヘアワックスを落としてあげましょう。
2. シャンプー前にリンスやコンディショナーで髪をほぐす
ヘアワックスによってはハードタイプと呼ばれるスタイリングのキープ力が強いものがありますし、量を多めに使って整えたいという時もあるでしょう。そうすると、ぬるま湯でワックスを流してシャンプーで洗い落とすだけでは十分に洗い落とせないということも出てきてしまいます。そういった場合は、シャンプー前の乾いた髪にリンスやコンディショナーを馴染ませて髪の毛をほぐしてあげましょう。これを行うことで、ワックスの油分とリンスやコンディショナーの油分が結合し、ヘアワックスが落ちやすくなります。化粧品のクレンジング作用によく似ています。
一般的にリンスよりもコンディショナーのほうが、油分が多く含まれているため洗い落としやすさを考えるとコンディショナーの方がおすすめです。リンスやコンディショナーをつけて髪をほぐしてあげたあとは、シャンプーを使う前にしっかりと洗い流してあげましょう。
3. しっかりとすすぎを行う
前洗いをするとき、リンスやコンディショナーをシャンプー前につけてヘアワックスを落としやすくするとき、あるいはシャンプーをするときに大切なのは、その後のすすぎをしっかりと行うということです。特にリンスやコンディショナーを使ったときに、しっかりすすぎを行わなければリンスやコンディショナーの油分まで余計に洗い落とす必要が出てくるので、シャンプーで目的のヘアワックスを洗い落としにくくなってしまいます。
また、頭皮に付着しているのはヘアワックスだけではなく、皮脂やフケ、ホコリなどの汚れも含まれていますので、頭皮を清潔にするという意味でもすすぎは大切です。洗い残しが出てしまうとリンスやコンディショナー、シャンプー、ヘアワックスのどれを取っても頭皮には悪影響を与えてしまいますので、普段すすぎが軽い気がするという人は特に入念にすすぎを行いましょう。
4. シャンプーでワックスを落とす
一番重要なのがシャンプーによってヘアワックスを落とすということです。シャンプーは1日生活している上で汚れてしまった頭皮を清潔な状態にしてあげる意味でもとても重要で、ヘアワックスを落とすためにはシャンプーが必要不可欠となります。シャンプーの仕方についてもいくつか注意点がありますので紹介してきましょう。
1) シャンプーはしっかり泡立ててから
シャンプーを使うときにそのまま髪の毛につけて泡立てている人がいるかと思いますが、これはあまり髪の毛にとって良くありません。
髪の毛同士の摩擦が多くなってしまうため、ダメージを増やしてしまう元になるからです。
シャンプーを使うときは、手でしっかり泡立てる、あるいは泡立てネットを用いて泡立ててから髪の毛と頭皮につけるようにしましょう。
2) 爪は立てずに指の腹で
爽快感を求めてシャンプーをするときに爪を立ててゴシゴシと洗うのはNGです。
爪を立ててゴシゴシ洗うのは、一見洗った気分にはなるものの頭皮を傷つけてしまう恐れがありますし、必要以上に髪の毛が強くこすり合わされてダメージになりやすくなってしまいます。
理想的な洗い方は、爪は一切立てずに指の腹を使ってマッサージをするイメージで洗っていきましょう。
爪を立てて洗っていた人は少し物足りない気がするとは思いますが、指の腹で洗い上げたほうが確実に頭皮の負担にはなりませんので覚えておいてください。
3) シャンプーのすすぎ残しがないように洗い流す
シャンプーにも界面活性剤が含まれているということで、そのまま頭皮に付着させていると刺激となって炎症を起こしやすくなってしまいます。
シャンプーのすすぎ残しが無いようにしっかりと洗い流しましょう。
特に耳の後ろや襟足というのは目で見えない部分なので、ついつい見過ごしがちです。
その周辺は入念に洗い、頭皮から流れる水が透明になるぐらいまですすいでください。
スタイリングの時に手についたワックスの落とし方
スタイリングをするときは必ず手にヘアワックスをつけてセットしますが、髪の毛だけではなく手についたワックスも落としづらいのも気になります。時間が無いときは特にササッと洗い落ちてくれれば良いのですが、ハードタイプのヘアワックスであればあるほど中々落ちにくいものです。このヘアワックスを効率良く落とすためには、リンスやコンディショナーを使って落としやすくするという考えと同様にして、メイク用のクレンジング剤を手につけて洗うのが良いでしょう。
クレンジングオイルは油で油を落とすという考えの元作られていますので、良く手に馴染ませてから洗い落とすとヘアワックスのベタつきを効率良く取ることができます。また、水よりもぬるま湯の方が落ちやすくなりますので、クレンジングオイルを使ってぬるま湯で洗うという方法で手についたヘアワックスを洗い落としましょう。
一つ注意点としては、クレンジングオイルを使った後は、手の潤いが奪われている状態なので、しっかりとハンドクリームを塗って保湿対策もしてください。
石鹸とヘアワックス専用シャンプー
ヘアワックスをストレス無く落とすことを考えると、洗浄力の強いシャンプーを選ぶことが良いですし、今では洗浄力が高いということで石鹸やヘアワックス専用のシャンプーが発売されているのをよく目にします。ただし、この両者を使用するに当たって気をつけなければならないことや向いていない肌質の方もいますので使うときには自分に合っているかどうかよく判断しなければなりません。
洗浄力が強い分、皮脂を取り過ぎる傾向がある
洗浄力が強いということは、頭皮に付着している油分を洗い落とす力に長けているということです。前述しましたが、頭皮には頭皮の乾燥を防ぐために必要最低限の皮脂の分泌は必要なので、それまで洗い落としてしまうと頭皮の乾燥を招いてしまいます。頭皮が元々乾燥しやすい肌質の方やアトピーの方は洗浄力の強いシャンプーは向いていないということになります。また、洗浄力が強いからといって石鹸やヘアワックス専用シャンプーばかりに頼り切ってしまうことによって、乾燥しやすい肌質ではない人にとっても頭皮に悪影響を及ぼしてしまう可能性があります。
使う際はより慎重に極力石鹸やシャンプーを使わないようにそれ以外の部分での工夫が必要です。
ヘアワックス専用シャンプーは界面活性剤配合
ヘアワックス専用シャンプーということなので、それだけ洗浄力に長けているシャンプーではなくてはなりませんので、どれを選んでも界面活性剤が配合されていると思って良いでしょう。また、界面活性剤だけではなくアルコールによる脱脂力にも期待することができますので、より強力に頭皮についたヘアワックスを取り除くことができる反面、頭皮の保湿やケアを怠ると乾燥や炎症を起こしやすいというデメリットも持っていることを把握しておいてください。
髪のごわつきを予防する方法
ヘアワックスをしたことがあるほとんどの方が経験しているかと思いますが、ヘアワックス後というのは髪がごわつきやすいです。この髪のごわつきは、髪のダメージにもつながってしまいますので、ごわつかないように予防と対策を行っていきましょう。トリートメントで髪のケアを
髪の毛がべたつきやすいからという理由で、シャンプーだけしかしないというのはおすすめできず、むしろシャンプーだけしかしないほうが髪の毛はごわついてしまいます。ヘアワックスによって髪の毛が多少なりともダメージを受けている状態で、紫外線等の髪の毛が傷んでしまう環境に身を置かなくてはいけなくなります。トリートメントを行うことで髪の毛の内側から補修をすることができますので、ごわつきを抑えるためにはトリートメントは欠かさず行っていきましょう。
正しいトリートメントの使い方
トリートメントは頭皮ではなく髪の毛の補修を行うものなので、トリートメントの際には頭皮ではなく髪の毛全体に浸透するように行う必要があります。そのため、トリートメントはシャンプーと違って頭皮には揉み込んではいけません。また、トリートメントもシャンプー同様に洗い残しがあると頭皮に負担がかかってしまいますので、しっかりとすすぎを行うようにしてください。トリートメントは髪の補修をするからといってあまりに多くの量をつけてしまうのも良くないことです。
トリートメントに記載してある適切な量、自分の髪の毛の流さに対して全体的に馴染む量を考えて使用するようにしてください。
洗い流さないタイプのトリートメントを使う
最近では、髪の毛につけたら洗い流さなくても良いタイプのトリートメントが女性に人気で、女性だけではなく男性にも注目を浴びるようになってきています。この洗い流さないトリートメントでも十分に髪の補修、ダメージを受けにくくしてごわつかない髪の毛にすることが期待できますので、気になる方は検討してみると良いでしょう。ドライヤーで乾かす時は低温を心がける
髪の毛をドライヤーで乾かすときに、早く乾かしたいからと温風で髪の間近で使っている人もいますが、これは頭皮や髪の毛にとっては良くないです。髪の毛はタンパク質で構成されており、温度が高くなるとタンパク質が変性してしまい髪の毛が傷む原因となります。ドライヤーの噴出口付近の温度は100度近くになると言われており、その点を考えると温風で頭皮や髪の毛の間近でドライヤーを使うことはおすすめできません。乾きにくくはなってしまいますが、低温も併用してドライヤーをかけるように心がけ、できるかぎりドライヤーと頭部を離して使うようにしましょう。
まとめ
ヘアワックスのホールド力が強いものは、キープ力が魅力的ではあるものの髪の毛のことを考えるとあまりおすすめはできません。シャンプーで落ちやすいヘアワックスを選ぶ必要があり、髪に残りにくいことを考えるとグリースやジェルタイプのものが良いのではないでしょうか。ヘアワックスを使う場合は、上記で紹介した落とし方やトリートメント等の髪の毛が傷みにくい様にする対策、予防法をしっかりと取り入れていき、髪の毛がごわつかないような生活をしていきましょう。